|
1. ワークショップの目的 新通史フォーラム(吉岡斉代表)は、今年度より、『通史 日本の科学技術 第6巻 世紀転換期 1995〜2005』(略称『通史6』)の出版を目指すプロジェクト 研究を進めています。2005年7月23日には、「世紀転換期日本の科学技術と社会をど う見るか」と題する公開ワークショップを、科学技術社会論研究会の場を借りて開催 しました。その後毎月のように、種々の分野・領域におけるこの間の変化を検証する ための研究会を重ね、「全体構想」について議論する段階にさしかかってきました。 また研究会を重ねることにより、現段階で約40名のメンバー(執筆希望者)の参加を 得ております。それでもまだ世紀転換期日本の科学技術と社会の主要トレンドを網羅 するには程遠いため、これからも多くの重要な分野・領域のエキスパートの協力を得 たいと思っております。 このワークショップの主目的は、現時点における「全体構想(案)」の概要と、その 背景にある基本的考え方を示し、それについてメンバーだけでなく、多様な参加者の コメントを頂戴することにより、「全体構想(案)」を改良する手がかりを得ること です。もうひとつの目的は、『通史6』のひとつの柱として立てる方向で考えている 「海外から見た世紀転換期日本の科学技術と社会」部門について、そのフィージビリ ティを検討することです。 このワークショップでは 3名の報告を予定しています。まず第1報告として、シャロ ン・トラウィーク氏(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に、「海外から見た世紀 転換期日本の科学技術と社会−−一国的研究機関からグローバル研究機関への転換 1995−2005」というタイトルで、報告して頂きます。物理系ビッグサイエン スの研究機関が主な分析対象となります。 なお「海外から見た世紀転換期日本の科学技術と社会」部門については、外国人又は 海外在住歴の長い日本人の方に、それぞれの専門分野・領域に重点をおいて、書いて 頂く予定です(専門分野・領域は、副題として表記します)。『通史5』では、テッ サ・モーリス・スズキ氏(オーストラリア国立大学)に書いて頂きましたが、今回は 大幅に拡充し、数名の方にお願いする予定です。トラウィーク氏の報告は、そのモデ ルケースとなるものです。 第2報告「世紀転換期日本の科学技術と社会の描き方(1)全体構想(案)とその基 本的考え方」では、「全体構想(案)」とその基本的考え方について、座長の吉岡斉 (九州大学)が報告します。その基本的考え方によれば、科学技術の社会史はあくま でも総合的な歴史の各論として描かれるものであり、総論を踏まえた上で書かれるも のです。もちろん各論である以上は、政治・経済・社会の全体動向についての記述は つとめて簡略化し、科学技術に関連する事柄について詳細に論ずることとなります。 現代世界は、政治構造の多極化と経済活動のグローバリゼーションが、互いにコンフ リクトを引き起しつつ同時進行し、その中で「持続可能な発展」への道が多難をきわ めている世界として捉えることができます。また日本については、そうした世界の動 向に巻き込まれつつも、国際政治のプレイヤーとしての行動が硬直的であり、経済グ ローバリゼーションに対しては一歩遅れた「対応」に終始しており、「持続可能な発 展」にも後ろ向きであり、それらすべての背景には関係者の既得権益尊重の根強い文 化がある、という特徴づけができるでしょう。こうした現在進行中の歴史過程を構成 する重要な因子が、科学技術に他なりません。そうした観点から「全体構想(案)」 は、世紀転換期の科学技術の社会史の重要アイテム(『通史6』の各章に対応するも の)の選定を試みます。 ところでアイテムの重要度は、科学技術のインパクトの大きさにおける重要度と、政 治的・経済的意味における重要度という、2つの要因によって決まります。後者はメ ンバーが、この10年間の日本の歴史をどのように認識するかによって多かれ少なか れ左右されるものです。それゆえメンバー間での歴史認識の共有、あるいは歴史認識 そのものを共有しないまでも、歴史認識の方法や他のメンバーの歴史認識の流儀につ いて、各メンバーが十分に理解しておくことが、必要となってきます。 第3報告「世紀転換期日本の科学技術と社会の描き方(2)歴史的変動の中の日本社 会」では、中心メンバーの後藤邦夫(桃山学院大学名誉教授)が、歴史認識の方法に ついて話した上で、ひとつの模範となる歴史認識の流儀を示すことにより問題提起を 行いますとりわけ、経済・産業活動を下部構造とみなす観点に立ったとき、政治と経 済との間に特段の上下関係をみとめない観点(第2報告の観点)と比べて、世界と日 本がどのように異なる相貌を見せるのかについて、知的興味をそそる議論を展開します。 新通史フォーラムのメンバーの方はもとより、これからメンバーとしての参加を考え ておられる方、さらには世紀転換期日本の科学技術と社会の全体的なとらえ方につい て議論を戰わせたい方は、ふるってご参加ください。 2. ワークショップの時間割 13:00-13:10 趣旨説明 吉岡 斉 (九州大学) 13:10-13:50 話題提供1 シャロン・トラウェーク(カリフォルニア大学ロサンゼルス校) 「海外から見た世紀転換期日本の科学技術と社会: 国的研究機関からグローバル研究機関への転換、1995-2005」 13:50-14:00 コメント1 桑原雅子(桃山学院大学教育研究所名誉所員) 14:00-14:20 討論(話題1に関して) 休憩 14:30-15:10 話題提供2 吉岡 斉 「世紀転換期日本の科学技術と社会の描き方(1): 全体構想(案)とその基本的考え方」 15:10-15:50 話題提供3 後藤邦夫(桃山学院大学名誉教授) 「世紀転換期日本の科学技術と社会の描き方(2): 歴史的変動の中の日本社会」 15:50-16:00 コメント2 塚原修一(国立教育政策研究所) 休憩 16:10-17:00 討論(話題2・3に関して) 17:00-18:00 懇親会
|